車を長く使うことは、経済的かつ環境にも良い選択です。しかし、どうすれば愛車を長く、たとえば20年以上にわたって使い続けられるのか、疑問に思う人もいるでしょう。
この記事では、車を長持ちさせるコツと、車を使い続けるか新しく買い替えるかのポイントを分かりやすく説明します。車を長く使うためには、定期的なメンテナンスや正しい運転の仕方が大切です。
これを怠ると、修理代が高くなるだけでなく、安全性に問題が生じたり、車自体が早く壊れてしまうかもしれません。しかし、この記事で紹介する方法を実践すれば、車をもっと長く、快適に使い続けることができます。
この記事で分かること 車を長持ちさせるための具体的な方法 古い車を所有する際の注意点 修理するべきか、買い替えるべきかの判断基準 |
今の車をどうするか悩んでいる人は、ぜひ最後まで読んでみてください。あなたにとっての最適な方法が見つかるはずです。
目次
車は20年以上乗れる
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日本人は1台の車にどのくらいの期間乗っているのかご存じでしょうか。「一般社団法人 日本自動車工業会(JAMA)」が2023年に実施した「乗用車市場動向調査」によると、新車から保有し手放すまでの平均期間は7.2年です。
「3回目の車検を機に手放す」「値段がつくうちに売却する」といった理由が背景にあると考えられます。では、車は本来どのくらいの期間使い続けられるのでしょうか。かつては、車の寿命は「10年10万km」とされていましたが、これは過去の話です。
現在では技術の進歩により、20年以上、15万〜20万kmを問題なく走行できる車が増えています。ただし、長期間車を使用するためには、いくつかのコツが必要です。その具体的な方法について、次で詳しく解説します。
車に長く乗り続けるためのコツ3選
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1台の車を15万km、20万kmと走らせるには、いくつかのコツが必要です。そのコツとして、以下の3つが挙げられます。
- 油脂類や消耗部品の定期的な交換
- 車に優しい運転を心がける
- こまめな洗車
それぞれ詳しく解説します。
油脂類、消耗部品の定期的な交換
車の寿命を延ばすためには、日常的なメンテナンスが欠かせません。特に油脂類や消耗部品の定期的な交換は、車の性能を維持し、安全な運転を続けるための基本です。
具体的に交換するべき部品として以下のようなものが挙げられます。
- エンジンオイル、オイルフィルター
- タイヤ空気圧
- 冷却水(クーラント)
- ミッションオイル
- ブレーキフルード
- エアクリーナー
- スパークプラグ
- バッテリー
- タイミングベルト
それぞれの部品がどういったものなのか、交換頻度の目安や費用も合わせて確認していきましょう。
エンジンオイル、オイルフィルターの交換
エンジンオイルは、車のエンジン内部で使用される非常に重要な潤滑油です。「潤滑」「冷却」「清浄」「防錆」「密封」といった働きでエンジンのトラブルを防ぎます。エンジンの寿命を延ばし、性能を維持するために欠かせません。
エンジンオイルは放置すると汚れて性能が低下するため、定期的に新しいオイルと交換する必要があります。オイルフィルターは、エンジンオイル内の不純物や汚れを取り除く重要な部品であり、エンジンの性能維持に欠かせません。
エンジンオイル | オイルフィルター | |
交換頻度目安 | 5,000km~10,000km または 6か月~1年ごと | エンジンオイル交換 2回に1回 |
交換費用 | 3,000円~15,000円 | 1,000円~3,000円 |
タイヤ空気圧の補充
タイヤ空気圧を適正値に保つことは、タイヤを長持ちさせるだけでなく、足回りの劣化を防ぐためにも重要です。不適切な空気圧は、燃費の悪化やタイヤの偏摩耗を引き起こし、安全性を大きく損なう可能性があります。
適正な空気圧は車種によって異なり、多くの国産車では運転席のドアを開けた内側に記されています。燃費にも大きな影響を与えるため、こまめにチェックし、必要に応じて補充することを心掛けましょう。
エアチェッカーは、多くのガソリンスタンドで無料で貸し出されているため、給油時に利用すると便利です。
タイヤ空気圧 | |
点検頻度目安 | 1か月ごと |
交換費用 | 無料 |
冷却水(クーラント)の補充
冷却水(クーラント)は、エンジン内部の温度を適切に保つために非常に重要です。エンジンが運転中に発生する高温を吸収し、冷却システムを通じて効率的に放熱することで、エンジンの性能を維持し、故障を防ぎます。
冷却水が不足すると、オーバーヒートやラジエーター、ホースの錆びなどの深刻なトラブルにつながる可能性があるため、定期的な点検と補充が欠かせません。冷却水はカー用品店やホームセンターで購入し、自分で簡単に補充できます。
冷却水(クーラント) | |
交換頻度目安 | 減っていたら都度補充、劣化している場合は交換 |
交換費用 | 500円~3,000円 |
ミッションオイルの交換
ミッションオイルは、トランスミッション内部の金属部品を潤滑し、摩擦や損傷を防ぐ重要な潤滑油です。
異常があるのに交換を怠ると、潤滑性能の低下により部品の摩耗が進み、トランスミッション全体の故障につながる可能性があります。修理費用は数十万円に達することもあり、最悪の場合はミッションの交換が必要になるため、定期的なメンテナンスが重要です。
ギアに異常を感じたら、トランスミッションの不具合が疑われます。以下の記事では、ギア異常の原因と対策について詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
ミッションオイル | |
交換頻度目安 | 50,000km~100,000km |
交換費用 | 10,000円~30,000円 |
ブレーキフルードの交換
ブレーキフルードは、車のブレーキシステムで使用される特殊な油圧作動液です。ブレーキペダルを踏んだときに発生する力を油圧に変換し、その力を各車輪のブレーキに伝える役割を果たします。
交換を怠ると、ブレーキ性能が低下し、最悪の場合ブレーキが効かなくなるリスクがあるので注意が必要です。特に湿気を吸収しやすい性質があるため、劣化したブレーキフルードは沸点が低下し、高温時にブレーキの効きが悪くなる可能性があります。
ブレーキフルード | |
交換頻度目安 | 2年または20,000km(山道走行が多い場合は1年または10,000km) |
交換費用 | 5,000円~15,000円 |
エアクリーナーの交換
エアクリーナーは、エンジンが取り込む空気をろ過し、不純物から守る重要なフィルターです。不純物がエンジンに侵入すると部品を傷つけ、性能が低下する可能性があります。清潔な空気を供給することで、エンジンの寿命を延ばし、燃費性能を維持します。
エアクリーナーを交換しないと、目詰まりによる吸気不足が発生し、エンジン効率が低下する恐れがあるため注意が必要です。その結果、燃費の悪化や加速力の低下、最悪の場合エンジンの故障につながる可能性があります。
エアクリーナー | |
交換頻度目安 | 1年または15,000~20,000km |
交換費用 | 2,000~6,000円 |
スパークプラグの交換
スパークプラグ(点火プラグ)は、エンジン内部で燃料と空気の混合気に点火するための部品です。ガソリンエンジン車において非常に重要な役割を果たしており、点火による爆発力を利用してピストンを動かし、車を走らせます。
スパークプラグを交換しないと、点火性能が低下し、エンジンの始動性が悪化したり、燃費が低下する場合もあります。さらに、燃焼が不完全になることでエンジン内部にカーボンが蓄積し、エンジン寿命が短くなるリスクもあるため、定期的に交換しましょう。
スパークプラグ | |
交換頻度目安 | 15,000km~100,000km(タイプにより異なる) |
交換費用 | 5,000~20,000円 |
バッテリーの交換
バッテリーは、自動車の電気系統に電力を供給するための蓄電装置です。エンジンの始動や車内の電装品の動作に欠かせない役割を果たしています。バッテリーを交換しないことで起こり得るトラブルには、エンジンが始動しなくなったり、電装品が正常に動作しなくなるなどがあります。
特に冬季はバッテリーが弱くなりやすく、出先でトラブルの原因となることもあります。また、ハイブリッド車の場合、通常のバッテリー(補機バッテリー)に加え、高電圧バッテリー(メインバッテリー)も搭載されています。高電圧バッテリー(メインバッテリー)は一般的に耐久性が高いものの、劣化が進むと燃費が低下したり、ハイブリッドシステムの動作が不安定になる可能性があるため、定期的な点検と必要に応じた交換が重要です。
通常のバッテリー | 高電圧バッテリー(ハイブリッド車) | |
交換頻度目安 | 2~5年 | 8~10年または100,000~150,000km |
交換費用 | 5,000円~20,000円 | 150,000円~500,000円 |
タイミングベルトの交換
タイミングベルトは、エンジン内部でクランクシャフトとカムシャフトを連動させ、ピストンとバルブの動きを正確に同期させる重要な部品で、エンジンが効率的に動作するために欠かせない存在です。
タイミングベルトが切れると、ピストンとバルブが衝突し、エンジン内部に甚大なダメージを与える可能性が高く、修理費用は数十万円に及ぶこともあります。そのため、故障を未然に防ぐために、定期的な交換が必須です。
最近では、交換が不要なチェーンタイプを採用している車種も増えています。あなたの愛車がどちらに該当するかを、取扱説明書やメーカーのホームページなどで確認しておきましょう。
タイミングベルト | |
交換頻度目安 | 100,000km |
交換費用 | 40,000円~120,000円 |
車に優しい運転を心掛ける
車を長持ちさせるためには、以下の運転習慣を意識することが大切です。
- 急発進・急ブレーキを避ける
- 暖機運転を行う
急発進・急ブレーキを避ける
急発進や急ブレーキを避けることで、エンジンや足回り、トランスミッション、ブレーキパッドなどの部品にかかる負担を大幅に軽減できます。部品の摩耗や劣化を抑え、修理費用の削減や車の寿命延長につながります。
人間でも、急に走ったり止まったりする過酷なスポーツを続けていると、膝などを負傷しやすくなります。また、急な操作を控えることで燃費が向上し、安全運転にもつながります。
暖機運転を行う
エンジンが冷えた状態での運転は内部部品に負担をかけるため、出発前にエンジンを温めることで潤滑油が行き渡り、部品の寿命を延ばすことができます。こちらもよく人間に例えられるのですが、朝起きてすぐに全力で走ることが身体への負担が大きいことは明白です。
「最近の車は暖機運転の必要はない」とも言われますが、いきなりエンジンを高回転まで回すことは避けたほうがよいでしょう。
こまめな洗車
汚れをそのままにしておくと塗装が劣化しやすく、錆の原因となることもあります。洗車を定期的に行うことで、車の外装を保護し、見た目の美しさを維持しましょう。
また、足回りもしっかり洗うことで、異常や損傷に早く気付くことができ、結果的に重大なトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
車を長く使う際の注意点
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ここまで説明したことを実践していれば長く乗れるものの、あくまでも車は消耗品です。そのため、高年式・多走行車を使用する際には、以下の3つの注意点があります。
- 新車登録から13年で税負担額が増える
- 交換部品がなくなり修理できないことがある
- 車検費用が高額になりやすい
それぞれについて知っておくことで思わぬ出費増などのトラブルが避けられます。
新車登録から13年経過すると税負担額が増える
新車登録から13年経つと、自動車税と自動車重量税が15%アップし、さらに自動車重量税は18年目からさらに増税されます。
自動車税(2019年9月30日以前に登録された車両の場合) | ||
排気量 | 新車登録から13年未満 | 新車登録から13年以降 |
~1,000㏄ | 29,500円 | 33,900円 |
1,000~1,500㏄ | 34,500円 | 39,600円 |
1,501~2,000㏄ | 39,500円 | 45,400円 |
2,001~2,500㏄ | 45,000円 | 51,700円 |
2,501~3,000㏄ | 51,000円 | 58,600円 |
3,001~3,500㏄ | 58,000円 | 66,700円 |
3,501~4,000㏄ | 66,500円 | 76,400円 |
4,001~4,500㏄ | 76,500円 | 87,900円 |
4,501~6,000㏄ | 88,000円 | 101,200円 |
6,000㏄~ | 111,000円 | 127,600円 |
新車登録日 | 13年経過後 | ||
~2015年3月31日 | 2015年4月1日~ | ||
軽自動車(乗用) | 7,200円 | 10,800円 | 12,900円 |
軽自動車(貨物) | 4,000円 | 5,000円 | 6,000円 |
自動車重量税 | ||
経過年数 | 普通自動車の税額 | 軽自動車(自家用乗用) |
~12年目 | 0.5tあたり4,100円 | 3,300円 |
13年目~17年目 | 0.5tあたり5,700円 | 4,100円 |
18年目~ | 0.5tあたり6,300円 | 4,400円 |
人によっては大きな額ではないと感じるかもしれませんが、思わぬ出費につながるため、注意が必要です。
交換部品がなくなり修理できないことも
車種によっては、モデルチェンジや絶版に伴い交換部品が製造されなくなる場合があり、エンジン部品や内装部品などの専用部品が入手困難になることがあります。汎用品で代用できる場合もありますが、対応できないケースでは修理自体が不可能になる可能性もあります。
また、購入できても価格が高騰していることがあり、修理費用が予想以上に高額になる可能性があるので注意しましょう。
車検費用が高額になることがある
いくらこまめにメンテナンスをしていたとしても、長く乗り続けていると、経年劣化により、エンジンやブレーキなどの主要部品や足回りの細かな部品に損傷が発生するリスクが高くなります。
部品によっては車検を通すためには修理や交換が必須で、部品代や工賃がかさみ、車検費用が通常よりも高額になる可能性があると覚えておきましょう。
乗り続けるか買い替えかの判断基準
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車が古くなるにつれて、今の車を長く乗り続けるか、買い替えるべきか迷う方も多いでしょう。そういった際は、以下の判断基準を参考に、自分にとってどちらが最適な選択かイメージしてみてください。
乗り続けた方が良いケース
乗り続けたほうが良いケースとして以下の3つが挙げられます。
- 大きな故障がない
- 車検を通したばかり
- 愛着がありまだまだ乗りたい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
大きな故障がない
エンジンや車の重要な部品に問題がなければ、乗り続けるという判断で良いでしょう。この状態であれば、今のところ大きな修理をする必要がなく、金銭的な負担も少なくて済みます。
こまめなメンテナンスを続けて、今の状態をキープするよう心がけましょう。
車検を通したばかり
車検を通したばかりの車を手放すことは、損をする可能性があります。車検では、故障箇所の修理や部品の交換などに費用がかかりますが、車検が多く残っているからと言って、それに見合った査定額の増加はあまり期待できません。
さらに、車検を通して整備された車は安全性が高くなるため、少なくとも1年程度は乗り続けて整備費用を有効活用する方が合理的です。
愛着がありまだまだ乗りたい
今乗っている車に愛着があるなら、それはただの移動手段以上の存在になっているかもしれません。そういった感情があり、手放したくないのであれば、修理費用がかさむとしても長く乗り続けるべきです。
お金を貯めて初めて買った車や、自分好みにカスタムした車などであれば、大切に乗り続けることで、より高い満足度が得られるのではないでしょうか。
買い替えた方が良いケース
以下の2つのケースに該当する場合は、今の車を売却または廃車し、新しい車に買い替える方が良いでしょう。
- 維持費の負担が増えている
- ライフスタイルに合わなくなっている
それぞれ詳しく解説します。
維持費の負担が増えている
古い車は、経年劣化により車検費用が増加し、部品の交換頻度も高くなります。また、先述の通り、自動車税や重量税が新車登録から13年後に増額されるため、維持費全体が増加する傾向があります。
一方で、新しい車はエコカー減税の適用や燃費性能の向上が見込まれるため、ガソリン代や税金を含めたランニングコストを大幅に削減できます。特にハイブリッド車や電気自動車では、維持費の削減効果がさらに高まります。
ライフスタイルに合わなくなっている
家族構成や使用目的の変化により、現在の車が不便に感じられる場合、新しい車を選ぶことで日常生活がより快適になることがあります。例えば、子どもが独立して家族の人数が減った場合、以前は必要だったミニバンを手放し、燃費の良いコンパクトカーや維持費が安い軽自動車に買い替えることで、ランニングコストの削減が可能です。
また、趣味や仕事のために荷物をたくさん積む必要が出てきた場合は、ラゲッジスペースが広いSUVやワゴン車に切り替えることで利便性を大幅に向上させることができます。今の車を購入した時から環境が大きく変わっている場合は、現在の生活スタイルに合った車への買い替えを検討しましょう。
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