海外赴任が決まった場合、車はどうするべきなのでしょうか。売却か保管か、最適な選択は、赴任期間やご自身の状況によって異なります。大切な愛車を手放す前に、よく考えてみましょう。
本記事では、海外赴任時の車の保管方法と処分方法を網羅的に解説します。売却するタイミングや注意点もご紹介しますので、後悔のない選択をする参考としてください。
目次
海外赴任が決まったら車はどうする?

海外赴任が決まったら、所有している車をどうするか検討しなければなりません。主な選択肢は、以下の通りです。
- 海外赴任の前に売却する
- 売却せずに保管する
- 親族や知人に貸す
- 赴任先の海外へ車を持っていく
それぞれのメリットとデメリットを比較し、ご自身の赴任期間や車の利用状況、費用などを考慮して最適な方法を選びましょう。
海外赴任の前に売却する
海外赴任にあたり、有力な選択肢となるのが車の売却です。売却によって得た資金は、赴任先での生活費や新車の購入費用に充てることができます。
また、車を所有していない期間は、税金・保険・駐車場代などの維持費がかからないのもメリットです。
売却せずに保管する
帰国後にまた同じ車に乗りたい場合は、日本での保管を検討する必要があります。保管方法は、「そのまま保管」する方法と「一時抹消登録」する方法の大きく二通りです。
そのまま保管する
最も簡単なのは、車をそのまま保管する方法です。手続きは不要ですが、海外赴任中も自動車税や保険料、駐車場代などの維持費が発生し続けるため、長期間の海外赴任には適していません。
一時抹消登録をする
「一時抹消登録」を行い、車のナンバープレートを返納すれば、抹消登録中は自動車税が発生しません。長期間の海外赴任でも維持費を抑えることができ、帰国後には再登録手続きにより再び同じ車に乗ることが可能です。ただし、平日に陸運局で手続きを行う必要があり、手数料が発生する点は留意しましょう。
親族や知人に貸す
親族や知人に貸すのも、選択肢の一つです。車に乗らない期間が長いと、そのぶん劣化が進行しやすくなります。貸し出し期間のメンテナンスをお願いしておけば、良好な状態を維持できます。
気心の知れた間柄だからこそ、トラブルを避けるための事前の準備が重要です。貸し借りの際に発生し得るトラブルとして、車の故障時の修理費用の負担、事故発生時の責任の所在、維持費の支払い、車の返却時期などが挙げられます。
口約束だけでは、後々「言った、言わない」の水掛け論になってしまう可能性があるため、契約書を作成しておくとよいでしょう。また、車両の名義変更を行う必要があります。
赴任先の海外へ車を持っていく
赴任先で車が必要な場合や、思い入れのある車を手放したくない場合は、海外赴任先に車を持っていくという選択肢もあります。ただし、輸送費用や関税など、多くの費用と手間が発生するため、事前に十分検討する必要があります。
また、赴任先の国の法律や規制についても確認が必要です。右側通行か左側通行か、排ガス規制、安全基準などが、日本とは異なる場合があります。これらのポイントを考慮し、本当に車を持っていくことが得策なのか、他の選択肢と比較検討しましょう。
海外赴任に伴い車を売却するか判断するポイント

海外赴任に伴い車を売却すべきか、売却せずに保管しておくべきかどうか。迷ったときの判断ポイントをご紹介します。
- 海外赴任の期間はどのくらいか
- 車を利用する家族がいるか
- 維持費はいくらかかるか
- 車を手放したくないか
- 車に乗って何年経つか
これらのポイントを総合的に考え、ご自身の状況に合った選択をしましょう。
海外赴任の期間はどのくらいか
海外赴任の期間は、車を売却するかどうかを判断する上で重要な要素です。赴任期間が1~2ヶ月と短い場合は、車を売却せずに保管しておく選択肢も考えられます。
一方、半年以上の中長期的な赴任であったり、赴任期間が明確でなかったりする場合は、売却を検討した方が良いでしょう。赴任期間が長いほど維持費は高額になり、バッテリー上がりやタイヤの劣化など、車の状態が悪化する可能性も高くなります。
維持費はいくらかかるか
期間だけで車の売却を決断できないときは、実際に維持費がいくらか試算してみましょう。維持費を計算し、売却した場合と比較検討することで、より適切な判断ができます。
主な維持費の内訳は、以下の通りです。
- 駐車場代
- 自動車税
- 自動車重量税
- 自賠責保険料
- 任意保険料
- 車検費用
これらの費用に加えて、劣化によるメンテナンス費用なども発生する可能性があります。売却によって得られる金額と維持費を比較し、どちらが経済的か検討しましょう。
車を利用する家族がいるか
海外赴任に同行しない家族がいる場合、その家族が普段から車を利用しているかどうかで判断が変わってきます。家族が定期的に車を利用している場合は、売却せずに車を保有しておくことを検討しましょう。車を売却してしまうと、家族の生活に支障が出てしまうためです。
一方、家族が車を利用していなかったり、利用しても頻度が低かったりする場合は、売却の選択肢が有力です。車は所有しているだけでも維持費が発生します。維持費を節約するために、売却を検討しましょう。
車に乗って何年経つか
所有年数が7年目の場合、売却を検討する一つの目安となります。7年目は、3回目の車検を迎える時期にあたります。走行距離が10万キロに達していない車も多く、査定額が高く付きやすいのです。車検前に売却すれば、車検費用も節約できます。
また、モデルチェンジが近い場合も売却を検討する価値があるでしょう。新モデルが登場すると旧モデルの需要は低下し、買取価格も大きく下がります。帰国後に新たな車を購入する良い機会だと考えましょう。
車を手放したくないか
愛車への思い入れが強い方は、手放すことに抵抗があるかもしれません。また、希少価値の高い車や、こだわってカスタマイズした車を所有している場合、売却は難しい決断でしょう。
どうしても手放したくない場合は、車を保管するか、海外に持っていくことも検討しましょう。最終的にはご自身の状況や希望に合わせて判断するわけですが、感情だけでなく、費用面も考慮して冷静に検討することをおすすめします。
海外赴任に伴い車を売却するタイミングと流れ

海外赴任が決まり、車を売却すると決めた場合、スムーズな売却のために適切なタイミングと流れを把握しておくことが重要です。
- 海外赴任の2~3ヶ月前には売却の手続きを進める
- 車の査定に申し込む
- 売却先を決めて契約する
- 車や書類を引き渡す
- 入金を確認する
売却の手続きにはある程度の時間を要するため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。
海外赴任の2~3ヶ月前には売却の手続きを進める
車の売却は2~3ヶ月かかると想定しておくと安心です。余裕のあるスケジュールで進めることで、出国直前に慌てず車を手放せます。また、買取業者の比較検討に時間を割けるため、希望額に近い売却を実現しやすくなります。
ローンが残っている場合は完済手続きにも時間が必要なので、より余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
車の査定に申し込む
車の売却を決めたら、まずは査定を受けましょう。複数の業者に査定を依頼することで、より高額で売却できる可能性が高まります。
一括査定サイトを利用するときは、信頼できる大手サイトを選ぶのがポイントです。出張査定や持ち込み査定の場合は、複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。
売却先を決めて契約する
査定額に納得できたら、売却先と契約を結びます。売却先を決める際は、査定価格だけでなく信頼性も重視しましょう。商談時のスタッフ対応や店舗の雰囲気など、自分との相性も考慮して選ぶとトラブルに発展しにくくなります。
契約の際は、契約書に記載されている内容を細かくチェックしてください。不明点がある場合は、サインをする前に質問して解決しておきましょう。
車や書類を引き渡す
契約が完了したら、いよいよ車と必要書類を引き渡します。名義変更などの手続きに必要な書類は、事前にしっかりと準備しておきましょう。引き渡し時、最低限用意しておきたい書類は以下の通りです。
- 車検証
- 自賠責保険証
- 自動車税納税証明書
- 印鑑証明書
- 実印
紛失すると再発行に手間がかかるため、早めに揃えておくと安心です。また、書類の内容に不備があると、名義変更手続きがスムーズに進みません。必要事項を漏れなく記入し、不明な点があれば売却先に必ず確認しましょう。
入金を確認する
売却金額の入金は、売却方法によってタイミングや手続きが異なります。ディーラー下取りの場合、新車購入時の値引きとして相殺されるため、別途入金は発生しません。
中古車買取店や個人売買の場合は、車の引き渡し時に現金で受け取るか、事前に銀行口座を指定して振込で受け取ります。入金の時期については、あらかじめ確認しておくと安心です。
いずれの場合も、契約書に記載された金額と入金金額が一致しているか、必ず確認しましょう。万が一金額が異なる場合は、速やかに売却先に連絡して確認してください。
海外赴任前に車を売却するときの注意点

海外赴任前に車を売却する場合、いくつかの注意点があります。
- ローンが残っていると売却できない可能性がある
- 任意保険の解約や中断手続きを忘れずに行う
- 出国まで車が必要なときは代替手段を考える
- 海外赴任後に車を売却するには委任状が必要
思わぬトラブルに発展しないよう、ここでポイントを押さえておきましょう。
ローンが残っていると売却できない可能性がある
車の売却時、ローンが残っている場合は注意が必要です。ローンが残っている車は所有権がローン会社にあるため、自由に売却できない可能性があるからです。ローンが残っている車を売却するには、以下の2つの方法があります。
- ローンを一括返済する
- 査定額でローン残債を返済する
一括返済が難しい場合は、査定額でローン残債を返済する方法が一般的です。この場合、売却の手続きは、買取業者とローン会社との連携が必要になります。買取業者が代行してくれる場合がほとんどですが、事前に確認しておくと安心です。
任意保険の解約や中断手続きを忘れずに行う
車を売却したら、任意保険の解約、もしくは中断の手続きを行いましょう。手続きを忘れてしまうと、保険料が無駄になってしまうので注意が必要です。
中断手続きを行っておけば、帰国後に同じ保険会社で再度契約する際に等級を引き継ぐことができます。保険料の割引を受けられるので、中断手続きをしておくのがおすすめです。一方、帰国の予定がなかったり、保険の変更を検討していたりする方は解約するのも一つの手段です。
手続きは保険会社に連絡して行います。保険会社によって必要な書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
出国まで車が必要なときは代替手段を考える
海外赴任が決まり、車を売却するとしても、出国直前まで車が必要となるケースもあるでしょう。そこで、売却のタイミングと出国までの移動手段を両立するための代替手段を検討する必要があります。
主な代替手段として、以下が挙げられます。
- レンタカー
- カーシェアリング
- タクシー
- 公共交通機関
- 家族や友人の車
売却時期と出国までの移動手段を事前に計画することで、スムーズな海外赴任を実現できます。
海外赴任後に車を売却するには委任状が必要
海外赴任後、日本に残してきた車を売却する場合には、委任状が必要になります。ご自身で手続きができないため、代理人に手続きを依頼する必要があるためです。 通常、代理人は家族や親族、友人などが務めます。
委任状は、法的に有効な書類である必要があります。そのため、記載内容に不備がないように注意し、作成後は必ず保管しておきましょう。また、代理人には委任状だけでなく、印鑑証明書、実印、車検証なども必要に応じて渡しておきましょう。スムーズな売却手続きのため、事前に代理人と十分に相談し、必要な書類を準備しておくことが大切です。
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